小学生のころ、年に何回かなかなか寝付けない夜があった。
特別見たいドラマがなければ遅くとも夜10時には布団に入るようにしていた(親にそうしつけられていた)のだが、布団に入ってからが戦いであった。
というのも、私は誰かが起きている気配がないと眠れない子供だった。
みんなが寝てしまって自分だけ起きていると、一人だけ取り残されたような気持になり、とてつもない心細さに襲われるのだ。
だから、私が10時に布団に入り、親が眠りにつく11時半ころまでには眠りに落ちねばならない…
そんな緊張感の中眠りにつくこともしばしばあった。
強迫観念にかられてか、自分がベッドに向かう前には、まだ起きている親に「今日何時に寝る?」とその日自分に与えられたタイムリミットを確認した。
だいたいの日は「早く寝なきゃ」と考えるまでもなく、すっと眠りに落ちていたのだが、ときどきどうしても眠れない日がある。
そんなときには、
「早く寝ないと、みんなが寝ちゃう」
「みんなが寝ちゃったら、さみしくてこわくてもっと眠れなくなって、もっとさみしくなってこわくなっちゃう」
という思いが頭の中をぐるぐるぐるぐる回り続けるのである。
自分は眠れないのに最後の砦のお母さんも布団に入り、眠ってしまった気配を感じると、一人しくしく泣いたことも何回かあったなと思い出す。
そんなときは寝ぼけながらお母さんが「寝てないから大丈夫だよ~」と言うのであるが、その10秒後には寝息が聞こえてくる。
「なんで私だけ残してみんな寝ちゃうの」という謎の怒りでもっと眠れなくなるのであった。
中学・高校時代も眠れない夜は年に数回あった。
さすがに泣きはしなかったが、
「早く寝なきゃ、明日起きられない」
「睡眠が足りないと、授業中寝てしまう」
という思いがぐるぐるして、
途中でおねしょ(なんてしないのだが)も心配になって、トイレに何度も行き、そわそわがおさまらぬまま気づけば夜中の2時なんていうことも1年に2回くらいはあった。
大学時代は「眠れなかろうが何だろうがどうでもいい」という思いから、眠れなかったことはあっただろうが、そのことに関する記憶の一切がない。
就職してからは毎日毎日疲れすぎていて、むしろ夜11時ころまで寝ないで耐えるほうが困難な課題であり、布団に入れば5秒のうちに(盛ってない)眠りに落ちるなんてこともざらであった。
眠りに落ちるというより“気絶”といったほうがふさわしいかもしれない。
ということで、近頃は考えることもなかった「眠れない夜」があった昔に思いをはせ、こんなこと思ってたな~というとりとめもない日記でした。
では。