テレビで神木隆之介が言っていた(か、他の共演者が彼のエピソードとして話していた)のだが、
彼は中学時代卓球部に所属していて卓球が好きで練習にも熱心に参加していた。
腕前もそこそこだったそうだ。
しかし、大会には出たことがないという。
顧問が大会に出ることを勧めても断固として、出るとは言わなかった。
それはなぜかと言うと、極度の負けず嫌いだったからだ。
大会に出たら優勝しない限り、負けることになる。
それを想像しただけで、悔しかったのだろう。
しかし、大会にそもそも参加しなければ負けることはない。
「出なければ負けないじゃないですか」
ということで、一度も試合に出たことはなかったのだそうだ。
斬新すぎる。
“戦わなければ負けない”というのはどこかで聞いたことがあった気がするが、中高の部活でその論理が通用するとは思っていなかった。
運動部に所属する限り、大会への参加は原則強制的なものと思っていた。
チーム競技の場合、レギュラーでないから試合に一回も出たことがないというケースはあるだろうが、個人種目があればどんなに下手だろうとエントリーされてしまうものと思っていた。
やはり凡人ではない…
彼だから許されたというところもあるかもしれない。
普通出たくないと思っていても、それを言う勇気が出ないか、
言ったとしても顧問に叱られるか諭されるかしてなんだかんだ大会に参加する流れに持ってかれてしまうものだ。
ほんとすごいな、神木。
私も自分が思っている以上に負けず嫌いで、
運動もそれほど得意ではない(でもできなくはない)のに負けるとむかつくし、
ゲームも負それほど得意ではないのに負けるとむかつく。
料理や工作などどっちがうまくセンス良く作れるかみたいな勝負という位置づけでない場合も、自分の方が相手より劣っているなということを感じたくはない。
うん…こじらせている。
最近も、同僚とちょっとした息抜きでバドミントンをやった。
息抜きとして楽しむことが目的だと思っていた私は、公園バドを想像して臨んだ。
しかし、女子は私一人であとは運動がそこそこ得意なおじさん3人。
その中で音頭をとってくれていたおじさんAが日ごろから運動を熱心にしていてバドミントンもうまい。
5ポイント先取勝ち残りのシングルスをやっているとき、おじさんAにサーブ5本で負けた回があった。
ぽわんという優しいサーブを全部すかしたとかだったら私が下手なだけなのでしょうがないが、そのおじさんAのサーブがえぐいというかせせこましい感じのやつばっかりだった。
完全に勝ちにきているサーブだった。
私が3回くらいそのサーブでミスっているのに、一向にやさしいサーブに変えてくれない。
3点目を連続で落としたあたりから、私の表情は「無」になった。
その瞬間は、むかつくとかくやしいとかじゃなくて、虚無状態だった。
何してるんだろ、私。みたいな。
そのときは、女子っぽい感じでちょっと大げさに悔しさ&申し訳なさを演出しておいた。
「え~なんでとれないんだろ~」
「ほんとすいません!!(プレーが続かなくてつまらないだろうから)」
だから、私の態度で場がしらけたりということはなかった。
しかし、そのあと、他の人のゲームを場外からぼーっと眺めていると、お腹の底からふつふつといら立ちが押し上げられてきた。
なんなの?
いい年して大人げない!
私はバドはドドドド素人なのに!
この場に花そ添えている唯一の女子なのに!(←)
そんなに勝ちたいのか!
悔しいというよりむかつく!
わ~なんかほんとむかつく!
あーもう!
となった。
そのあとダブルスをやったのだが、おじさんAと組むとほぼ全部とってくれちゃうし、おじさんAが相手にいれば容赦なくスマッシュとかしてきて、ポイントポイントがそれぞれ一瞬で終わってしまう。
ラリーが2回くらいしか続かない。
もうなんだこれ。
何の時間?
誰得?
と反抗心しか湧いてこなくなった。
リフレッシュの軽い運動のつもりが、ストレスフルな全身運動になっていた。
最後は私は傍観者になり、おじさんたち同士のサドンデスマッチ?を見ていた。
若干の紆余曲折はあったが、おじさんA優勝。
終わった後に、
「いや~いい汗かいたよね~?」
「今日は勝利の美酒に浸りたと思います」
とか癇に障ることばかり言っていた。
何がそんなに問題なのか、と思うだろう。
私じゃなければ、
「もっと優しく打ってくださいよ~」とか
「ほんとうまいですね~~」とか
ニコニコして言って、
全員が「楽しかったね」で終わることもできるだろう。
しかし、私はそんにいい人じゃない。
それと何回も言うが負けず嫌いなのだ。
負けるゲームはしたくないのだ。
もうそれはどうしようもない。
次こういう機会があったら、
神木隆之介論に基づいて断ろう。(←)
では。