ある休日にスタバに行った。
いつも言っているところではなく、本屋に併設の静かなスタバだ。
店の表側の席はちゃちゃっと食事を済ませたい人やおしゃべりをしたい人が多いイメージ。
カウンター裏側には持て余しているともいえる開けた空間があり、間隔広めでテーブルが設置されている。
本屋併設なので、そこで買った本を読んでねという想定のもと作られた空間だからか、何とも言えず落ち着く。
そして、椅子もクッション性のあるものなので長く居座っても疲れない。
周りの人もお一人様か、二人で来ても各自勉強や読書をしているといった感じである。
私もコーヒーとケーキを買って読書を楽しんでいた。
少し時間が経った頃、私の隣の席に60代くらいの夫婦が座った。
最初は夫が一人で座って読書をしていたので、一人かな?と思っていたら、妻が商品を運んできた。
ちょっと夫!あなたが運ぶくらいしなさいよ!と勝手にケチをつけたくなったが、その夫婦の会話を聞いているうちに、なんともほっこりした。
妻が運んできた飲み物とフードのトレーを見て、
夫が
「ストローないね」
と言ったらしかった。
すると、妻は
「ストロー持ってきてないよ。ストローいらないでしょ」
となかなか強めに反論している。
しかし、この妻の言い方が非常におっとりでゆっくりはんなり系なので、嫌味は感じない。
また、しかし、おっとりのなかにも“圧”のようなものはあり、夫もそれ以上は何も言えないようであった。
この夫婦の力関係が少々垣間見えた気がした。
バナナ系の飲みものかケーキを頼んだのだろうか。
妻が
「結局バナナは好きなの?嫌いなの?」
と聞いていた。
その前と後が聞き取れなかったので、どんな文脈かわからなかったのだが、なんとなく歯切れの悪いもごもごとした返答を夫はしていた。
ここで私の妄想スイッチが入り、勝手に全力で共感した。
「ですよね~
男って前にあんま好きじゃないって言ったものにいきなりはまってみたり、
何でも好きだよと言いながら好き嫌い多かったりしますよね~
厄介ですよね~
食事を基本妻が作る場合、思ってた反応と違うと萎えますよね~」
と。
と、ここでも力関係がうかがえた。
そして、まったりおしゃべりをして、そろそろ行こうかと言うときに夫が
「俺片付けるよ」
とトレーを持った。
そのとき妻は
「いいの?やったー!^^(キラキラ)」
と言ったのだ。
か、かわいい、、、と私がプチ悶絶してしまった。
それと同時にうまいっ!!と思った。
言い方が絶妙なのだ。きゃぴっと感がありつつも、上品さを失わない、そして、わざとらしくない。
この妻はまさに夫を手のひらの上で転がすタイプだ。
ネガティブな意味ではない。
なぜなら、妻の振る舞いで夫はうれしくなったり気分がよくなったりしているはずだからだ。
私だったら、、、と考えて自分のかわいげのなさに絶望した。
多分夫は私が何も言わなくても、トレーを持って片付けてくれるだろう。
それに対して「ありがとう」の一言が出れば、万々歳だ(←)。
心の中では“やってくれて当たり前よね”と思っているのだ。
なんてかわいくないんだろう。
残念過ぎる。
夫よ、残念でした、、
こんな私と結婚してしまって。
今からキャラ変するのはきついので、
このスタバで出会った妻のようには振る舞えないが(諦めは早い方)、
1年に1回くらいは
「やったー!^^ありがとう」
みたいなかわいさが出るといいんじゃないかと思う(他人事)。
しかし、この妻の巧妙なのは、かわいい面もありつつ、おっとりした口調で釘をさす部分はしっかりと刺しにいっているところである。
さすがです。
勉強になります。