ussamのつぶやきダイアリー

日々のつぶやき、美容、ダイエット、本の感想などゆるく書いていきます。

【本の感想】『ショートケーキ。』坂木司

 

図書館で何借りようかな~と見ていたとき、私の目にパッと入ってきた。

 

 

少々渋めの水色の背景に苺がたくさん乗ったおいしそうなホールのショートケーキ。

 

水色、白、赤の色味の可愛さに惹かれ、手に取っていた。

 

 

作者を見ると「坂木司」とある。

 

『和菓子のアン』を読んで以来、坂木司さんの本が大好きになった。

ほっこりミステリーという感じで、「どういうこと?どうなるの?」と少しハラハラする場面や気になる場面がありつつ、最後は、「そういうことか~」というスッキリ感とともに、登場人物たちの温かい思いや人と人との絆が感じられてほっこりできるのが、たまらない。

 

さらに、“おいしいもの×坂木司”は最強だと知っているので、読まずにはいられない!ということで借りてきた。

 

期待通り、一瞬で読めた。

 

今回もほっこり感や共感をもらえた。

 

 

このすっきりでほんわか温かな読後感をシェアしたいと思って、ちょこっと感想を残しておこうと思う。

 

 

【あらすじ】(一応載せときます)

星の数ほどあるケーキの種類のなかでも、不動の人気を誇る「苺のショートケーキ」。「和菓子のアン」シリーズなど、甘いものを描いた作品に定評のある著者による、誰しも思い出のひとつやふたつはあるだろうショートケーキをめぐる5篇の連作集です。
大学生の<ゆか>と<こいちゃん>はどちらも、母との二人家族。父が出て行ってから買えなくなったホールケーキを求めて、ふたりは<失われたホールケーキの会>を結成、切れていないケーキを楽しんでいる。ある時、離れて暮らす父親から、「大事な話がある」と連絡があり……。(「ホール」)
俺が働くケーキ屋では、残りがちなホールケーキを予約なしに買ってくれるお客さんを天使と呼んでいる。天使の中には常連もいて、女子大生と思しきその二人組が俺は気になっている。どうやら彼女たちは、丸いホールのケーキにこだわっているようなのだ。(「ショートケーキ。」)
ケーキ屋で働く私には、嬉しいことがあったときにひとりで行う「趣味」がある。ケーキを冒涜しているようで人には言えないのだが……。
(「追いイチゴ」)
ママになった瞬間からさまざまなことがままならなくなった。大好きなショートケーキをもう一度ひとりでゆっくりと味わいたい。その願望を実現すべく、<あつこ>は二人のママ友と互助会を結成する。(「ままならない」)
央介の口癖は「嫁に行きてえ」、何事にも受け身で生きてきた28歳の会社員だ。ある時、領収書の不備を指摘されたのをきっかけに、会社の経理担当の女性のことが気になり始める。弟の学費を捻出するために倹約弁当を続ける彼女だが、どうやら本当はショートケーキが食べたそうなのだ。 (「騎士と狩人」)

Amazonより引用

 

※あとがきのネタバレかもしれません↓↓(内容を細かく書いてはいません)

 

 

「倒れないようにケーキを持ち運ぶとき人間はわずかに天使」岡野大嗣

 

この短歌からインスピレーションを受けて書かれたとあとがきで読み、なるほどな~と思った。

 

ケーキを例のケーキ専用の箱に入れて持っているとき、ものすごい無防備さとなんともいえない責任感を感じる。

 

ここで誰かに殴り掛かられても、ケーキをかばいながら殴られることしかできないような?(意味わからないかな?)、そんな気持ちになる。

 

そして、ケーキを買う時というのはだいたい特別なときである。

コンビニケーキではなく、ケーキ屋さんのケーキを買う時は特にだ。

 

“特別”の程度の差はあろうが、誕生日であったり、何かのお祝いであったり、自分へのささやかなご褒美としてであったり。

 

さらに、特別というのは、よくない方もあるだろう。

 

自分や誰かに悲しいことや嫌なことがあって励ましたい、励まされたい、癒されたい、時にはそんな気持ちのためにケーキを買う。

 

つまり、ケーキを買ったということは、何かしら特別な時であるということであり、なんとしても無事にケーキを持ち帰って、食べなければならない状況なのだ。

 

だから、責任感がわいてくる。

 

 

ケーキ屋さんのケーキには、力がある。
(コンビニケーキを軽視しているわけではない)

 

この本はショートケーキにフィーチャーしている。

 

なぜか。ショートケーキはケーキ中のケーキだからだ。

 

日本で、“ケーキ”と言われてパッと頭に浮かぶのは、ショートケーキだろう。

 

「ケーキ」と打ったら🍰が出てくるほどに(ちなみにスマホじゃなくて、Wordでもこの絵文字出てきてびっくり!)、ケーキと言ったらショートケーキだ。

 

なぜか、と聞かれてもわからない。

日本ケーキ史を調べるほどの情熱はないので、なぜかについては飛ばすことにする。

 

 

では、私はどうか。


ケーキと言われて思い浮かぶのは、やはりショートケーキだ。

 

好きなケーキは?と聞かれたら、モンブランとかなんとか違うもの言うであろうが。

 

 

ショートケーキの強さはやっぱりあの見た目にある。

白と赤、カットされたものならスポンジ部分の黄色。

もう、、、かわいい。

 

このビジュアルは反則では?と言いたくなるくらいにはかわいい。

 

“一番好きなケーキ”というのとはまた違うという人が多いかもしれないが、ショートケーキを見て幸福感を感じる人は多いのではないだろうか。

 

今日は失敗できないという日に、目新しい奇抜なケーキに挑戦するより、だいたいの味を想像できて一定以上のおいしさが保証されているショートケーキを選んでしまうというのはあるあるなのではないだろうか。

 

という私は、自分はショートケーキを頼まなくなって久しいが、

最近父が食べていたショートケーキを一口もらって食べてみたら、予想の5倍はおいしくて驚いた。

 

ショートケーキは私の中で「可もなく不可もない味」というイメージで定着してしまっていたのだが、「可もなく」なんて言ったら罰が当たるぞ!と思うくらいにはおいしかった。

「可はある」どころか、優良可だったら、完全に「優だ!!!」と叫びたくなるくらいおいしくて、ある意味で新鮮な驚きであった。

 

やはりショートケーキは強い。

 

 

私はイチゴそのものは好きではない。

フルーツ全般苦手であるというのもあるが、普段イチゴにそこまでの魅力は感じない。

 

しかし、スイーツに飾りとして乗っているイチゴは私をひきつける。

いちごそのものはそんなに好きじゃないのに、なんでイチゴが乗ってるスイーツは食べたくなるんだろう、と考えてみた。

 

答えは簡単である。

 

かわいいからだ。

 

イチゴはかわいい。

 

赤くてかわいい。(白いイチゴのよさはまだわからない)

 

そして、甘々なスイーツにイチゴの甘酸っぱさが加わると、キュンッとする。

 

 

これが私とその他大勢をひきつけるイチゴの魅力なのだろう。

 

 

そんな庶民的でもあり、特別感もあるショートケーキは、時に人を喜ばせ、楽しませ、感動させる。はたまた、励まし、慰め、癒す。

 

 

この本に出てくる登場人物たちはショートケーキに小さな救いを求めている。

人はそれぞれ、表からは見えなくても、問題や悩みを抱えている。何かと戦っている。

そんな張り詰めた気持ちを、ほわっと癒してくれるのがショートケーキだ。

 

 

この本を読んで、今度ケーキ屋さんに行くときにはショートケーキを買おうと思ったのであった。

 

それは自分のためかもしれないけれど、周りで悲しみ悩みを抱えている人がいたら、ショートケーキを買って一緒に食べて励ましてあげたいな、なんて柄にもないことを思ってみたりもした。

(そのくらい親しい人が周りにいないのは棚に上げておく)

 

 


おまけ

この本に登場する「央介」に共感したので、一場面引用させてもらう。

ネタバレというほど内容に踏み込んだ場面じゃないので読んでいただいても大丈夫だと思います。

 

↓↓引用開始

「……嫁に行きてえ」
俺がつぶやくと、光春が「出たそれ」と笑う。
先に言っておくけど、俺は別に女子になりたいわけじゃない。女子を馬鹿にしてるつもりもない。ただ、人生の重要事項を決めるのが心から苦手なのだ。
「……昭和に生まれたかったし」
親に決められた仕事に就き、決められた相手と見合いをして、決められたレールの上を何も考えずに進みたかった。
「央介、朝ドラヒロイン向きだよな」
光春の言葉に、俺は心からうなずく。俺は、配偶者の言いなりになることになんの問題も感じない。自由もいらないし、自立もいらない。なんなら戦時中の日本でも、そこそこうまくやる自信がある。上から言われたことに従って生きるなんて、最&高で楽すぎる。とはいえ、人が死ぬのは嫌だから、やっぱ戦時中より戦前かな。
「みんなどうやって決めてんだろうな」
……(続く)

↑↑引用終了

 

 


うん、共感。

 

 

では。