夏の終わり、日が短くなりはじめ、肌寒さを感じるようになるあの季節は、心がざわざわする。
それは毎年のことだ。
金木犀のにおいまでしてこようものなら、そのざわざわに拍車がかかる。
しかし、その季節がとっくに過ぎ、寒さにも慣れてきた最近、
その心のざわざわが私を襲ったのである。
ある日曜日の晩、一人暮らしの部屋で珍しくテレビを見ていた。
バラエティ番組だったのだが、何かがツボに入り一人で大声で笑った。
そして、笑い声が切れた瞬間、何とも言えない静寂に包まれた。
もちろんテレビはついたままなので、雑音はし続けているわけだが、
なんか私の周りだけシンと一瞬静まり返ったように感じられたのである。
そのとき、ふと、
「え、、寂しっ」
と思ったのである。
タイミングとしては結婚秒読みか?と思っていた友達が彼氏と別れ、独り身族にカムバックしたころだったので、自分だけ独身で取り残されていく怖さが和らいでいたころだったのだが。
なんかこのままだと、
わけのわからない寂しさで孤独死するんじゃないかと思ったほどだ。
そして、「さみしっ」と思った後、なんだか動悸が激しくなって、
「どうしよう」
という気持ちがわいてきたのである。
「何を」「どうしよう」と思いたいのかもわからないのだが、
得体のしれない迷いのようなものが生まれたようだった。
積極的な婚活はもうしないと決め、
ご縁があれば結婚しようと思うし、
ご縁がなければ一人で楽しく生きていこう、
と自分の生き方の方向性を定めたところだったのに。
そのときの迷いで、危うくマッチングアプリに再登録しそうになった。
あぶないあぶない。
その心のざわざわと何とも言えない不安感は一週間ほど続いた。
私にしては長いほうである。
今はなんとか抜け出した。
何をしたわけではないが、その気持ちが自然と薄れていって、また一人の時間を堪能できるようになっている。
最近幸せが詰まった恋愛ドラマを見過ぎたせいか、
恋愛は今はいいやと言っていたYouTuberがさくっと結婚したからか、
単に寒い日が続いて人肌恋しい気持ちになっていたからか、
原因はわからないが、不安定な気持ちになるのは疲れるので当分は勘弁してほしい。