私は大学時代に1年間韓国に交換留学していた。
初級の韓国語は日本にいる時に大学で習っていたので、
留学開始の時点で韓国語力が0ではなかったものの、
最初は日常会話すらままならないような状況であった。
留学がスタートし、平日は毎日(金曜日はお休みだったかも)2時間くらいの韓国語の授業を受ける。
長期休みには1日に4コマの韓国語の授業を受ける。
もちろん、授業以外も韓国語であふれている。
当たり前に韓国語力は伸びていく。
※渦中にいると伸びている実感があまりなく、自己嫌悪に陥ったりもするのだがその話はここでは省略。
まず、身についていくのが、韓国語の感嘆詞だ。
※この経験談はあくまで私や周りの友達の場合。
韓国ドラマを見る人は留学なんかしなくても知っているだろう。
「アイゴ」
「アイゴ~」
「オンマヤッ」
「オモ」
などである。
日本語で「うわっ」とか「えっ」とか「あっ」とかいうところで使われることが多く、日本語のただ単音を発する感嘆詞ではなんだか物足りなくなってきてしまう。
韓国語の勉強と称して留学中も見まくっていたドラマでも、これらの感嘆詞が連発される。
ドラマのみならず、その辺を歩いているだけで1日に何度となくこの感嘆詞たちを聞くことになる。
その環境と、留学生の少しでも早く少しでも現地人に近い感じの韓国語を話せるようになりたい!という思いが相まって、この感嘆詞を乱用するようになる。
感嘆詞をまねることで、グッとネイティブっぽさが加わり、ちょっと韓国語話せてる気持ちになってうれしいからだ。
留学生同士で、ドラマの真似をしながらこれらの感嘆詞を使うのも楽しい。
ちょっと驚いただけで「オンマヤッ」
意外な状況などに直面したら「オモオモ」
ものを落としただけで「アイゴ」
ちょっと重いものを持つときにも「アイゴ」
日本語のよいしょと同じ要領で「アイゴ」
こんなんだから、韓国語の感嘆詞が体に染みつくスピードはすさまじいものがあり、留学から帰ってきてからもまったく抜けない。
なんなら、留学終了から9年くらい経とうとしている今でも感嘆詞は韓国語がかなり出る。
ここまでくると、“かぶれている”の域をもはや超えている。
題名に関連して話したいのはここからである。
(前置き長すぎなのは触れない)
留学が終わり帰国して間もないころである。
日本人の友達と普通にしゃべっているときに普通に韓国語がぽろっと出てしまったことがある。
このときは、感嘆詞ではなかったが。
忘れもしない。
バイト終わりに友達と自転車で走りながら話をしていたとき。
友達が私のについて「~でしょ?」と言ってきたので、その内容を否定しようとしたとき…
「ううん(違う)」というところを、「アニ」と言ってしまったんだったか。
「いや、」とい言いたいところを「アニ」と言ったんだったか。
※「アニ」は韓国語の否定語。詳しい文法的説明は割愛。
無意識的に韓国語が出てしまったことに対して私は「うれしい」と感じていた。
実際一緒にいた友達にも
「やばっ、韓国語出たわ、やばっ」
と一見自嘲的な風に言ってみせたが、
内心は、
「ねえ、聞いた??今、私つい韓国語出ちゃった(テヘ)」
みたいなノリである。
それほど、その時の私は得意げであった。
「私、日本語話してるのについぽろっと韓国語が出ちゃうくらい韓国語が上達したんだなあ。」
なんて思うのと同時に、
友達に対して、
“ここまで韓国に染まった私。留学楽しんできた私。”
をアピールできた気がして、優越感を勝手に感じていたのである。
友達はすごいとも何とも思っていなかったと思うが。
むしろ、ちょっとうざいと思われていたかもしれない。
今思えば、日本語と韓国語をうまくコントロールできていない以外のなにものでもない。
真の言語屋さん方からしたら、「ちょっと恥ずかしい」状況なのだろう。
でも、”言語混ざっちゃう”のが頑張った証と思っていたのである。
つまり、若かったよね。
今思い返せば、「かぶれてただけじゃん」と思う。
でも、少しずれた思考だったとしても、
それでその時の自分に自信が持てたならばそれはそれで悪くはないとも思うのだ。
矛盾しているが。
こんなことあったなと思い出したので書いてみた。
ああ、留学楽しかったな。
では。